ヨルダンの鉄道 長谷川 均
筆者は以前,「今月の生成画像」でヨルダンとシリア国境を走るヒジャーズ鉄道の支線を紹介したことがある. また,シリアの鉄道についても紹介した.
http://bungakubu.kokushikan.ac.jp/chiri/EarthWacht/May2005/RSgazou.htm
http://bungakubu.kokushikan.ac.jp/chiri/Photo/2011Mar/11Mar.html
http://bungakubu.kokushikan.ac.jp/chiri/Photo/2008Oct/08Oct.htm
今回紹介するヨルダンの鉄道については,2010年頃に日本人で現地に滞在経験のある方の乗車日記をネットで読んだことがあったし,「Jordan railway」などで検索すると何本ものSLも動画が出てくる.しかし,これらは2010年前後に撮影されたものである(例えば https://www.youtube.com/watch?v=q5nBbR43CFo&t=2675s).いっぽう,ヨルダン南部のをワディラムでは今でも「アラビアのローレンス」によるヒジャージ鉄道襲撃を模した観光ショーが鉄道を使って行われているらしい(https://www.youtube.com/watch?v=a4SBqqkdkFk).この地域では,リン鉱石を運搬する鉄道会社(Aqaba Railway Corporation)が貨物列車運行している(https://www.youtube.com/watch?v=zj_ABMz2kZ8).
筆者は2005年からヨルダンに通っている.この間,ヨルダン国内を車でかなり広範にまわった.鉄好きというわけではないが,この国では線路は珍しいからおのずと目が向く.ヨルダン高地のハイウェイに沿って見える線路があるし,この線路を横切った(1,2)ことは何回もある.しかし,列車が走っているのを見た記憶はない。南部のワディラムへ行ったときにも線路を横切ったし線路上に止まる小さな気動車を見たことがある(7,8).しかし,ここでも走っている列車に出会ったことはない.産経ニュースのサイトにある首都アンマンの駅を取材した記事を見つけた.この記事は,2016年のものである.ただ,現在のアンマン駅周辺をグーグルアースの画像で捜しても,南部へ向かう線路も北部のシリア,ダマスカスへ向かう線路も途切れているようにしかみえない.存在するのかもしれないので、このあたりは現地へ行ったときに確認するしかないかな・・。ヨルダン北部の国境の町マフラクの北からシリアのダラー,ダマスカスを結ぶ線路はグーグルアースに描かれているが,記事によればシリア内では線路が内線で破壊されてしまっているという.
グーグルアースの「鉄道レイヤー」を表示させると,ヨルダン国内の鉄道は前記のシリアへ向かう路線しか表示されない.そこで,かつて線路を見た場所の位置を頼りに,グーグルアース上に見える「線路」もしくはそれらしきものを拾ってラインを引いてみたことがある(3).この線路の大部分は,ダマスカスからメディナを結んでいたが,第一次世界大戦で破壊されたかつてのヒジャージ鉄道(4)の路線の一部であるらしい.南部では東へ延びる支線があるが,この周辺には露天掘り鉱山がみえるので,おそらくはアカバ港へ搬出するAqaba Railway Corporationの路線であろう.
2017年の夏、車二台で東部の砂漠の調査をした後に、現地の研究者が寄り道をしようというので、ついて行ったことがある.着いたのは駅.Al Qatranaという町の東側ある駅舎である。グーグルマップによれば、Hijazi railway – alQatraneh station とある.本線の東側に、二つの弧を描く線路がみえる(12)。入れ替え用の線路なのだろうか? 「駅」にはふたりの人物がいた.突然の訪問にもかかわらずとても丁寧な対応である(9,10,11).滅多に訪れる人などないのであろう.机の引き出しから紙切れを出してみせられた.アラビア語の数字でよくわからないが時刻表らしい.ということは,列車が走っている?? 構内の設備をみてもにわかには信じられなかった.ハイウェーを走っていると,ワジにかかる真新しい橋(だいたいは石造りの架橋)を見ることがあるから,走ってはいるのだろう.構内に泊まっている車輌には「日本車輌」の文字がみえる(17).異国で朽ちゆくメイド・イン・ジャパンを寂しい思いで眺めたものである





線路は南へも東へも繋がっているようには見えない。グーグルアースでは見えないだけかもしれない













3,5,6,12:グーグルアースを加工,4:ウィキペディア
写真:2005~2017年,長谷川 均 撮影