ティグリス川沿いのセンターピポッド -致命的な水不足に直面するイラクの農業地帯-
イラクでフィールドワークをしている場所と周辺を衛星データから画像に調整してみました。バグダードの北にある,北メソポタミアといわれる地域の一部です。AIに数えてもらったら,画像1の範囲だけで2500~3000個のセンターピポッド農場があるそうです。植物活性度から円形図形を抽出してポリゴンを自動生成させ,正確な個数をカウントできると思いますが,農業地理の調査ではないし,段取りを考えるのが面倒くさいので今回はやっていません。地上からはセンターピポッド農場は見えにくいですから,滞在する町の近辺にこんなたくさんのセンターピポッド農場があるなんて最近まで気がつきませんでした。この場所は,ティグリス川から20kmほど離れた,ティグリス川がつくる沖積低地にあたります。
このあたりの農場は直径が500mくらいなので,世界の他地域に比べると半分くらいの大きさです。どうしてだろう。地形や地下水の分布を考えると面白そうなテーマになるかも知れないなと思いつつ,深入りするのは止めます。
イラクの農業は、歴史的にティグリス川,ユーフラテス川を利用した伝統的な灌漑(洪水灌漑)に頼ってきましたが、現在は致命的な水不足に直面しています。上流のトルコ国内で大規模なダムが建設されたことも一因といわれていますが,当然ながらトルコはそれを否定しています。
河川水位の低下により、政府は砂漠地帯での地下水利用による大規模農業を推進しています。これに伴い、広大な面積を効率よく潤せるセンターピボットの需要が急増しています。イラク政府は、2025-2026年の冬期農業計画において、小麦栽培における近代的な灌漑システム(センターピボットやスプリンクラー等)の使用を義務化したそうです。これに従わない農家からは政府が小麦を買い取らないという厳しい措置を講じているといいますから,相当な切迫感を持っているのでしょう。


