今月の衛星写真

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2025年のテーマは 境界 です
Vol.27-11 2025年11月

島の間を日付変更線と国境が通るダイオミード諸島

クイズ番組で時々出題される問題に「陸地の国境を共有せずにアメリカ本土に最も近い国はどこか?」 というのがある。 今月のお題がこれ。 答えはロシア。

  ダイオミード諸島はベーリング海峡の中央にある2つの島(米国のリトルダイオミード島(東側の島)とロシアのラトマノフ島)からなり、最短距離は3.8kmである。両島の間を国境と国際日付変更線が南北に通り、時差は21時間あるため前者は「昨日島」、後者は「明日島」と呼ばれる。リトルダイオミード島には村があり、ラトマノフ島はロシア最東端で無人といわれるが、実際には軍人が常駐(冷戦時のことか?)と書いてあるものもある。両島の間は、冬季は海が結氷して徒歩で渡行可能だが(実際には冬季の荒天のためほぼ無理らしい)、往来は禁止されている。

  これらの島にはもともとユピク人が居住していた。1728年にベーリングが再発見し、1732年に位置が測定された。1867年の米露条約で両国の国境が引かれ、1990年に再確認された。ソ連時代にラトマノフ島の住民は強制移住させられたという。アメリカのアラスカ州に属するリトルダイオミード島には少し前の記録では約115人が暮らし、学校や郵便局がある。宿泊施設などは無く、クルーズ船で寄港するか民家に泊めてもらうしかないようだが、後述のように定期航路があるわけではない。気候はツンドラで、夏季の平均気温は4〜10℃、冬季の平均気温は-12〜-14℃で年間の平均降水量は250mmと少ない。年間の平均降雪量は76cmである( 文中の数値は、ウィキペディアからの引用)。
  衛星データを検索したが、夏季でも雲量が多く、雲のないデータは年に1、2回しかない。画像1は、Landsat9の2025年7月6日のデータから作成したもので、米・ロ国境が1シーンで捉えられている。Sentinelのデータでは複数のシーンに分断される。画像2と3は、Landsatの空間解像15mとSentinelの10mの画像を比較したものである。Sentinelを拡大した画像4をみると、ロシアのラトマノフ島にはドーム状の地形が分布し、ドームの中央付近に凹みがあるものがあるから、火山が分布しているようである。島の最高点は505mで島の面積は29㎢という。島は、溶岩が厚い氷河や氷床を突き抜けたときに形成される平坦で、周囲が急峻な崖に囲まれているTuyaと言われる独特の形状をしている(ウキペディアによる)。
  いっぽうアメリカのリトルダイオミード島は平坦な台地が広がっているが、周囲は急な崖で囲まれている。集落は島の西側斜面の特定の範囲に集中している。ネット上にある写真を見ると、集落がある場所は背後に崖が無い場所のようである。島の頂部は標高350~363メートルで面積は7.3㎢ である。島には植生がほとんどない。定期船は通わず周回道路なども無い。冬季には氷上のヘリポートが唯一の交通手段となる。生業は自給的な狩猟・漁労で、 アザラシ、セイウチ、 クジラや 海鳥、魚でこれらは食料だけでなく、皮や骨も生活用品・工芸品として利用するという。一部の住民は教育・行政・メンテナンス関連の仕事に従事し若者の一部は本土に出稼ぎに行く。政府やアラスカ州の補助金・支援が生活基盤を支えている。気候変動により海氷の減少が進み、従来の狩猟ルートが危険になるなど、生活に影響が出ているほか、若年層の本土移住が進み、人口減少が課題となっている(Economic Value of Subsistence Activity Little Diomede, Alaska Main Report Prepared by: ResourceEcon Stephen R. Braund & Associates Dr. Steve J. Langdon Tetra Tech, Inc. December 2011などの記載を参考にした)。

図1 ダイオミード諸島の位置
USGSのEarth Explorerサイトの地図とオープンストリートマップを編集
画像1 ベーリング海峡とダイオミード諸島 LANDSAT92025/07/06 RGB:432
中央にある2つの島のうち、小さいほう(東側)が米国のリトルダイオミード島、左(西側)の大きい島がロシアのラトマノフ島で、最短距離は3.8kmであるが両島の間を国境と国際日付変更線が通り、時差は21時間ある。
画像2 ダイオミード諸島の夏  LANDSAT9 2025年7月
画像3 ダイオード諸島の秋 SENTINEL 2  2025年9月
画像4 ダイオミード諸島の拡大画像  SENTINEL2  2025年9月29日  

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